ビジネスパーソンが読みたい本〜童門冬二「小説 上杉鷹山」

管理人の本棚からビジネスパーソンにお勧めする「ビジネスパーソンが読みたい本」シリーズ。

5回目となります今夜は、集英社文庫から出ている「小説 上杉鷹山(著者:童門冬二)のご紹介です。

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上杉鷹山とは

上杉鷹山は江戸時代の大名です。

管理人の地元・山形県米沢市にあった米沢藩に養子に入り、9代藩主を勤めました。

有名な

「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬ成けり」

という言葉は上杉鷹山の言葉です。

(元は武田信玄の「為せば成る 為さねば成らぬ成る業を 成らぬと捨つる人のはかなき」という言葉をお手本にしたものです)

 

民を大切にし、慢性的な赤字だった米沢藩を救った上杉鷹山

アメリカの大統領だったジョン・F・ケネディが「尊敬する日本人は?」と訊かれ、上杉鷹山だと答えたエピソードは有名です(フィクションだとする向きもありますが、少なくともケネディ元大統領の長女は事実だとしているようです)

 

 

童門冬二 「小説 上杉鷹山

本日ご紹介するのは、作家・童門冬二が小説化した上杉鷹山の生涯です。

タイトルにも「小説」と書いていますように、これはあくまでフィクショナルなもの、小説仕立ての上杉鷹山像ではあります。

童門冬二の著作はおしなべてそうなのですが、登場人物たちが交わす会話も現代的であり、地の文にも現代的な言葉がぽんぽん出てきます。

 

しかしながらこの著書(というか童門氏の著作の多く)の目的は、時代を考証することではなく人物や物事の本質的な魅力を伝えることにあると思います。

そういう意味ではこの「小説 上杉鷹山上杉鷹山の魅力を的確に伝えていると管理人は思います。

 

上杉鷹山の魅力とは、集団を変革するリーダーとしての魅力に他なりません。

上杉鷹山が藩主になった当時の米沢藩

・慢性的な赤字状態

・優秀な人材が追いやられ、変化を好まない人材が重要ポストを占めている

という問題に悩まされていました。

もともと

・江戸からも遠く、山越えをしなければ陸路で江戸に行くことはできない

・雪が多く農作物を育てるにも限界がある

など、解消しにくい地理的な問題も大きかった中で、他国から養子に入った上杉鷹山いかにして人を動かし、物理的な問題を解決していったかが描かれています。

 

これは企業でも同じでしょう。

本当のリーダーが必要なのは、集団が安定しているときではなく集団が危機の時であるはずです。

そして危機の時というのは時代を問わず、

・人材が不足しているだけでなく、危機を解決したがらない人が重要な意思決定に関わっている

・抜本的な解決をしにくい物理的な問題がある

状態であると思われます。

 

本当のリーダーがいかにして人を動かし、物理的な問題をカバーしていくか

「小説 上杉鷹山にはそのエッセンスが詰まっています。

 

 

それでは今日はこの辺で。

明日は定量化〜中間管理職の役割〜」を予定しています。