ビジネスパーソンが読みたい本〜夏目漱石 草枕・二百十日

こんばんは。SMです。

以前の記事の中で「一流を目指すには小説を読むことも必要」と書きました。

管理人の本棚から、ビジネスパーソンが読みたい本をご紹介します。

f:id:howtoworkatSME:20190124110645j:plain

 

 

時の洗礼を受けた小説は大体間違いがない

以前の記事で書きましたが、忙しいビジネスパーソンであっても小説を読む機会はぜひ持っていただきたい。

www.howtoworkatsme.net

小説を読むことでしか得られないもの(少なくとも得にくいもの)というのは確実にあると管理人は思うからです。

そのため、知識として有名な小説のあらすじを覚えても意味はありません。

「10分で読める名作」みたいなものを読むぐらいならビジネス用語でも覚えていた方が有益です。

大切なのは小説自体を味わうことなのですが、とはいえ忙しいビジネスパーソンとしては手当たり次第に何でも読む、というわけにはいかないのは当然です。

 

そこでどういう小説を読むべきか? という問いが出てくるわけですが、時の洗礼を経たものはまず間違いがない、ということは言えます。

つまり、作者の死後も評価が続き読まれているものは良いものであろう、ということです。

もちろんそうでない場合もありますし、新しいものにも素晴らしいものはある。

しかし多忙な中で「あー! 下らないもん読んじまった!」とならないためにはいわゆる「古典的」な小説を読むべきです。

 

 

夏目漱石の凄さ

そこで管理人が推したいのが夏目漱石です。

いまさら漱石かよ! と思われるかもしれません。

しかし管理人もそれなりに読書をしてきましたが、やはり日本の作家で漱石を超える人はいないのではないかと考えます。

漱石の凄さというのは語りつくせないものがあるのですが、やはり何と言っても「小説を読むことで何かを考えさせる」という力は他の追随を許しません。

 

内田樹氏が様々なところで書いていたと思うのですが、やはり漱石というのは明治になって日本が激変していく中、誰も先達がいない中で日本を文学面から啓蒙していったわけです。

漱石が日本の近代小説を作ったわけで、開拓者であり先駆者であり巨星である。

そうであるがゆえに構造上、明治以降の日本文学とは本質的に「啓蒙小説」であるということが言えます。

だからこそストーンズ好きが「ローリングストーンズの音楽には全てがある。結局ストーンズに戻ってしまう」と言うように、漱石の小説には日本文学の全てがあると管理人は思います。

「日本文学」というのはあるていど漱石が作った土俵の上」で相撲を取っているか、あるいはその土俵から出る際も漱石が作った土俵を出るか出ないか」という基準となっていることは間違いないと思うわけです。

 

 

二百十日」における現代性

とは言え「漱石なら読んだことがあるよ」という方も多いでしょうし、逆に「何から読めばいいか分からん」という方もいるでしょう。

「高校時代の教科書に『こころ』が載っていたが全然ダメだった」という方もいるはずです。

 

漱石の小説はどれも素晴らしいと管理人は思うのですが、とはいえいきなり「明暗」を読め! と言ってもそもそも普段小説を読まないという人には難しいところがあるはずで、しかも絶筆だときた日にはたまりません。

最初はあるていど読みやすいものがいいはずです。

 

そこで二百十日という中編をお勧めします。

新潮文庫や角川文庫ではあの有名な草枕と併録されています。

草枕は好き嫌いも分かれる気もしますし観念的で難しいところもあるので、まずは「二百十日」から読む方が読みやすいはずです。

この二百十日という作品は正直いって、あまり有名ではありませんし評価も高くありません。

漱石らしくない作品という評価もあるのですが、会話が多くストーリーも明確で分かりやすい。

何より、会話がとても100年前に書かれたものだとは思えません

芥川なんかは逆に古さを感じてしまうことが多いのですが(失礼)漱石は古さを感じない。

 

それは漱石が「当時の風俗」つまりは「モノ」を描いたのではなく、「人間」を描き続けたからだと思うのです。

 

 

100年経っても変わらないこと

この作品を読むと感じるのは、「人間の本質は100年ぐらいでは変わらない」 ということです。

100年以上も前に書かれた二百十日という小説の中で、登場人物の「碌さん」と「圭さん」が交わす会話を読めば、そのやりとりがあまりに今と変わらず普遍性を持っていることに驚くはずです。

テクノロジーが進んで馬車がハイブリッド車になり、ガス燈がLEDになって和服の上にマントを着ていたのがヒートテックにダウンジャケットになっても、「人が面白いと思うこと」「人が感動すること」は変わりません

我々はきっと100年後も友人を思いやり、理不尽なものごとに腹を立て、下らない冗談を言い合って笑っているのでしょう。

 

「人間の本質は100年ぐらいでは変わらない」 。

明治時代に書かれた小説を読んでそう思えることは、きっと普段の生活にもヒントを与えてくれるはずです。

 

 

それでは今日はこの辺で。

明日は「うまくいかない人との付き合い方」を予定しています。