従業員が幸せだと企業も幸せか?

 

 深刻化する人手不足

こんばんは。SMEです。

数日前のこと。

人手不足による倒産が4割増、というニュースを読みました

www.sbbit.jp

特にもともと人数が少ない中小企業にとって、人手不足は深刻です。

 

AIの発展によって「なくなる職業がある」とは言われていますが、ドライバーや介護など、人がいなくてはどうしようもない仕事も存在します。

また、マネジメントや経営をAIに委ねることは難しいでしょう。

「人間にしかできない仕事」というのは恐らく(当面は)無くなりません。

 

 

どんな人が足りていないのか?

中小企業の現場から見ると、「人手不足」は大きく二つが挙げられます。

 

まず一つは、ドライバーや接客など現場のワーカーレベルで「人が定着しない」という悩み。

そしてもう一つは、「ミドルマネージャーがいない」という悩み。

つまり、若年層が育っていない、あるいは育っても辞めていく、という悩みです。

 

組織の年齢構成がいびつになっており、40代後半以上のおじさんたちは定着しているのに30代前後の中間管理職が育っておらず、20代ぐらいの若手は流動が激しい。

地方の中小企業にとっては、共通した悩みのようです。

 

「人手が足りなくて忙しい」というレベルならまだしも、それによって倒産するとなると話は深刻です。

特に「ドライバーがいない運輸業」などはすぐに倒産に結びつくでしょう。

「いや、ウチは現場の人は足りてるんだ。後継者さえ育てれば大丈夫」

という企業は、短期的には経営を続けられても、長期的に見ればやはり不安です。

どこも「ミドルマネージャーがいない」と悩んでいる中、自社だけはミドルが育つ、という保証はどこにもありません。

 

 

人件費を削る方法は二つしかない

転職が当たり前になり、また少子化で人材を奪い合う中、優秀な人材を確保するのは日増しに難しくなっています。

 

募集しても人が来ず、待遇を多少変えても人が来ず、広告代理店の言うままに広告費だけが増えていく……と悩んでいる中小企業の経営者・人事担当者が多いのも実情です。

 

端的に言えば、人件費を削る方法は二つしかありません

 

一つはマニュアルの整備やAIの導入などによって、人間にしかできない業務を減らし、また代替性を高くして給与を下げること。

もう一つは離職率を下げ、採用コストを下げることです。

 

この点を踏まえておかないと、

「待遇を変えれば人が来るかな?」

と給与を底上げして既存スタッフに対する人件費が上がり、しかし給与以外は変わらないため離職は止まらず、相変わらず採用コストも垂れ流し……ということになってしまいます。

 

 

従業員は費用か資産か?

使い古された言葉ではありますが、従業員を費用ととらえるか、資産ととらえるかで人件費のかけ方は変わってきます。

 

確かに、「一概には言えない。どちらも必要だ」というのは一見正しそうですが、働き方が多様化している現代、

「正社員は資産で、非正規雇用は費用」

「総合職は資産で、一般職は費用」

など、社内の働き方によって区別できるとは言えません。

 

そう考えると、自社は

「人を資本と考え、離職率を下げて採用コストを下げる」

のか、

「人を費用と考え、全体での給与を下げる」

のか、スタンスをはっきりさせることが必要です。

 

管理人としては前者のスタンスですが、後者でも悪いことはありません。

ポイントは、どちらなのかはっきりと打ち出すことです。

「聞いていた話と違う」と思えば、人は辞めます。

給与が安く、あるていど人員の回転が必要な業態であれば、代わりに提供できるもの(業務が楽であるとか、残業が少ないであるとか)を打ち出せばよいのです。

 

「人件費」とは給与や社会保障、福利厚生にかかる費用だけではありません。

採用や教育、研修など、人事にかかる費用をトータルで考えなければ、人材難の現代における人件費はどんどん膨張してしまいます。

 

 

従業員が幸せだと企業も幸せになれる

従業員の多くが「この会社にいることが幸せだ」と感じていれば、それは企業が成長していく礎となります。

「企業は人なり」とは使い古された言葉ではありますが、人が定着しない企業というのは、短期的には利益を生み出すことができても長期的に存続することは難しいものです。

 

「企業は従業員にどのような価値を提供できるか?」

ミドル・トップ問わず、マネジメントは常に自問すべきことだと言えます。