その一言、「慰留」になりません

こんばんは。SMEです。

今日は、部下が「会社を辞めたい」と言ってきたときに絶対に言ってはいけない一言についてです。

 

 

会社を辞めたいと言われた時の一般的な対応

マネジメントをしていれば、部下に会社を辞めたいと言われることは必ずあります。

その際に大概の人は

  1. 驚いて理由を訊く
  2. ひとまず穏やかに慰留する
  3. だんだん真剣に説得し始める
  4. 相手が説得されないと怒り出す

というパターンを踏んでいるな、と感じます。

まぁなかなか

「あっそう、辞めるの。了解」

とはならないのが人間です。

(そんな簡単に許可されても辛いものがありますが)

この対応がまずいというわけではないのですが、真剣になるとついつい口調が怒りを含んでしまいがちです。

それも致し方ない面はありますが、そんな中であっても慰留をするのであれば絶対に言ってはいけない一言があります。

 

 

この一言だけは言ってはいけない

会社を辞めたい、と言われた時に絶対に言ってはいけないのは、

「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」

という一言です。

相手を心配する気持ちで言うこともあれば、会社を辞めたいという部下への怒りがこもってしまうこともあるでしょう。

部下が辞めたくなる理由というのは上司にとっては些細なことであったり、自分自身は解決してきたことであったり、あるいはとっくに諦めていることだったりします。

そのため、

「そんなことで辞めたいなんて甘い!」

ということをふっと言ってしまうのです。

また

「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」

という言葉はキラーフレーズといいますか、年長者が経験を踏まえて言う、重みのある言葉に聞こえます。

そのため汎用性が高く見える

言ってみれば

「人の気持ちを考えろ」

「大人は大変なんだ」

「お前は何もわかっていない」

といった、「おじさんが言う決め言葉」になるように思えるわけです。


 

なぜ「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」と言ってはいけないか?

しかし「人の気持ちを考えろ」と臆面もなく口にする人が往往にして「人の気持ちが分かっていないと言われた人がどう思うか」なんて考えていないのと同様に

「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」

と安易に口にする人は往々にしてマネジメントができていません

(だから部下が急に辞めると言い出すわけですが)

 

単純に疑問なのですが、

「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」

と言われて、

「なるほど、確かにその通りですね。私が間違っていました」

と考えを改めるでしょうか?

 

通常はそんなことにはならず、心の中で

「うるせーよバカ、どこでもやっていけねーのはお前だよ」

などと思われて終わりです。

「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」

と言われた方からすれば、

「俺はお前より年長だし経験も豊富だし職位も上だから、お前が失敗することは分かる」

と遠回しに言われているようなものです。

言われた方は

「あぁ、急に辞めるって言われてイライラしてるのね。でもあたしもう辞めるから関係ないもんね」

とどこ吹く風。

慰留など夢のまた夢という状態になってしまうわけです。

 

 

慰留したければ相手の気持ちに寄り添え

会社を辞めたい、と言ってきた部下を慰留したければ、

「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」

という一言は絶対に避けるべきです。

 

仮に上司が部下のためを思って言っていたとしても、受け取る方はそうは思わないからです。

「いや、俺は相手のためを思って」

と思われるかもしれません。

しかしはっきり言ってしまえばそれは「余計なお世話」であり、問題の本質をすりかえていることを意識すべきだと考えます。

問題は「部下が会社を辞めるかどうか」であり、「会社を辞めた後の部下がどうなるか」ではありません。

 

慰留するのであればまずは相手の気持ちに寄り添うことです。

「そんなんじゃどこでもやっていけないぞ」

という一言は、言った方が気持ちよくなってしまう危険を孕んだ言葉です。

自分では、あたかも相手のために言っているように思えるからです。

しかしそれは実は「自分」ベースの言葉であると意識した方が良いでしょう。

 

 

では今日はこの辺で。

明日のテーマは今日のテーマの続きで「部下が会社を辞めたいと言ってきたらどうすべきか」を予定しています。