従業員の働き方が違うのは「お互い様」か?

 

子持ち女性と独身女性の対立?

こんばんは。SMEです。

「独身だからといって子持ち女性の分まで働くのは耐えられない」

という記事を読みました。

news.infoseek.co.jp

専門家に意見を聞く、ということだったのですが、

「お互い様の気持ちが大切です」

というまとめを読み、

はて、問題はそういうところにあるのだろうか?

とざわざわした気持ちになってしまいました。

 

内容としては某サイトに掲載された

「職場に子持ちの女性がいるが、子供がいることを理由にして定時で帰るため、その分の仕事が私に回ってくる。納得行かない」

という書き込みに対し、

「子持ち女性が自己中心的なこともあり、問題の争点が曖昧になっている。問題の本質はどこにあるのか? 専門家に聞いた」

とスタートしています。

この立脚点は正しく、その通りだと管理人も思います。

  • 子持ちの女性と、子供がいない女性の主張が対立してしまうこと

  • 自己中心的な人がいること

は別問題です。

これを

「子持ちの女性は自己中心的になりがちである」

などとまとめてしまうと、問題の本質を見誤るばかりか、差別に繋がりかねません。

そのためこの立脚点は正しいのです。 

また、専門家である回答者の方は

「まず企業側の努力が大切」

「それぞれが置かれている状況を事実として受け入れ、生産性高く仕事ができる環境を共に作るべき」

と話されていて、これもその通りだと思います。

 

その上で(かつ一部を抜粋した上で論じることには不当さが残ることを理解した上で)言いたいのですが、この記事の最後が

「お互い様の気持ちが大切」

と結ばれていることが疑問なのです。

 

 

「お互い様」で解決できないから問題になっている

問題なのは、「お互い様」では解決できないからです。

この記事を読む限りでは、投稿者の女性は充分に「お互い様だから」で我慢してきたように感じます。

しかし、このケースでは子持ち女性の方が「お互い様」だと思っていなかった。

あるいは、双方が思う「お互い様」の程度に大きな差があった。

だからこそ投稿者は

「何で私だけが我慢し続けなければいけないのか?」

という怒りが蓄積されていったわけです。

これは単に子供がいる・いないだけの問題ではなく、男性と女性であったり、親の介護をしている・いないというケースにも当てはまります。

例えば、今でも都合のいいときだけ「うちは男も女も関係ないから」と言われるのに管理職になれない、という女性も数多くいらっしゃるでしょう。

これが、「お互い様」の現実です。

これではいくら専門家や上司が

「お互い様だから我慢しましょう」

と言っても、

「私はもう充分我慢してきました」

としか思えないのは当然です。

 

 

企業側に具体的な対策が必要

専門家の方が初めにおっしゃっている通り、このような場合では企業側が対策を立てる必要があります

上司が無能であるという意見もあるようですが、

「労働できる条件が一緒ではない従業員のタスク量や待遇が同じ」

というのは、すでにマネージャーレベルで解決できる問題ではありません

多様化する働き方に合わせ、働き方に見合った人事制度を企業が導入しなければ、こういった問題は解決されません。

 

30年ほど前まで、

「女性は結婚したら会社を辞める」

という働き方が「当たり前」でした。

しかしそれがとっくに当たり前ではなくなった中で「女性は入社数年で辞める」という思考に基づいた人事制度を続けていれば、ひずみが出てこない方がおかしいわけです。

 

法律や社会保障など社会の制度は、「お互い様だよね」では解決できないことを解決するために発展してきた社会の知恵です。

企業内で起こる問題も「気持ち」の話だととらえず、会社として制度を変えていかなければ永遠に繰り返されるのではないでしょうか。