わずかなお金で人の心は変わる

こんばんは。SMEです。

みなさん、ちょっとしたお金をケチって、人の心を離れさせていませんか?

 

 

一文儲けの百遣い

お金の使い方でよくあるのが「コストダウンを図ったら、余計なコストがかかってしまった」という例です。

例えば人件費を削ったら離職率が上がったという場合などもそうですし、備品をなるべく自前でそろえるようにしたところ人が辞めていくようになったというケースも同じです。

企業にとって、人が辞めるというのは大きな損失のはずです。

しかしながら、目先のコストダウンにばかり注目してしまう企業が後を絶ちません。

コストダウンは企業として当然ですが、つかうべきところにお金を使わないと結果的に大損をするケースがあり得ます。

これは必ずしも経営職レベルだけではなく、ミドルであっても直面する問題です。



優秀な人を「使い倒す」のは無意味

管理人が知っているケースに次のような話があります。

Aさんは新規事業の立ち上げを上司から指示されたものの、物量的に一人でこなせるタスク量ではありませんでした。

もちろんAさんは新規事業を一人で任せられるだけあって優秀な人材なのですが、 今までどんなミッションを与えられても1時間前後の残業でおわっていたAさんの力を持ってしても一人で新規事業立ち上げというのは難しく、毎日12時間前後働いても時間が足らず、土日も家で仕事をしている状況でした。

タスクの中には単純なデータ入力や資料集め、ファイル綴じなどもあったため、Aさんはタスクの量や状況をざっとレポートにまとめ、人手を割いてくれるよう上司に依頼しました。

そうしたところ上司は

「まだ利益も出ていないのに人手を割けるはずがないだろう。人件費が一番かかるんだぞ!」

と言ってAさんの申し出を断りました。

結局立ち上げの恰好だけはつけましたが、Aさんは立ち上げが終わるとすぐ、かねてから誘いのあった別会社に転職してしまいました。

 

 

「残業はさせればさせるほどトク」ではない

人件費が一番かかる、というのは当然のことです。

Aさんもそれを知らずして稟議を上げたわけではないでしょう。

しかし上司は「業務量が多すぎてAさんが辞めると余計にコストがかかる。それどころかAさんが在籍してくれていることによる潜在的な利益が減る」ということまでは思いが至らなかったわけです。

古い考え方のままでいると、「今いる人員は目いっぱい使える」と思ってしまいがちです。

しかし例えば部署で合計160時間の残業が発生しているとすると、その160時間分のコストはどこかに消えてしまっているわけではありません。

在籍している誰か(一人か複数か)が負担しているわけです。

特に中小企業では(よくないことながら)、残業予備手当が40時間ほどしかついていないのにそれを超える残業を強いているところもゼロではありません。

ここを勘違いして「みなし残業代を支給しているのだから、残業はさせればさせるほどトクだ」と考えている上級管理職・経営職がまだまだ多いように思われます。

 

 

お金の使い方で人の心は変わる

オーナーカンパニーでは顕著ですが、世の中には「お金があるのに人の心を動かせない人」「それほどお金がなくても人の心を動かせる人」がいます。

管理人の昔の上司で、年末になると必ず非正規雇用や一般職のスタッフにポケットマネーで差し入れをしてくれる人がいました。

正規雇用スタッフは常時100名以上いましたので大変だったはずですが、お菓子の詰め合わせに手紙を添えて配布するのが風物詩になっていました。

当然、こういった人には多少怒られたり理不尽なことを言われたりしても人はついていきます。

逆に経営者であっても、事業所で来客に出すお茶すら各支所の所長に自費で買わせるという人にも会ったことがあります。

理由を伺ったところ、

「来客は基本的に出入り業者だからお茶なんか出さなくていい。それ以外の来客はほとんどない。あっても、所長なんだからそれぐらい自分で出してもらえばいい」

とのことでした。

もちろんこの方が経営する会社は離職率が非常に高かったのを覚えています。

 

 

「ケチかどうか」は他人が決める

上記の社長は投資するときにはドンとお金を動かす方でした。

「俺はケチじゃない。出すべきところは出して、無駄なコストは削っているんだ」と常々仰っていました。

ですが、各支所の所長から見れば「ケチ」ですし、管理人から見ても「ケチ」でした。

「ケチ」なのか「経費に厳しい」のかは自分が決めることではありません。

周囲が決めることです。

いくら当人がコスト意識が高いだけであっても、接する人が「あの人はケチだ」と思ってしまえばその人の評価は「ケチな人」でしかありません

そうなると取引先も営業に来るのに二の足を踏むようになり、従業員の会社に対する忠誠心も下がります。

経営職や経営者でなかったとしても、部下との飲み会やちょっとした残業中の差し入れなど、わずかなお金で人の心は動きます。

「お金が動くと心も動く」という言葉もあります。

管理職以上は特に、お金の使い方を見られているという意識を忘れたくないものです。



それでは今日はこの辺で。

明日は「仕事にはヒーローが必要だ」を予定しています。