昨日に続く「優秀な人を雇えばいいというものではない」。
なぜ、能力も経験も高い優秀な人員がすぐに退職してしまうことになったのでしょうか。
マッチングしなければ続かない
昨日書いたように、「大企業で高いポジションまで行ったある程度の年齢の人」は、転職先に対して
「今までの会社で培ったノウハウと知識を、転職先の企業に教えてあげる」
というスタンスでいる場合があるわけです。
もちろんそれ自体は悪いことではない。
実務を知らなくても、コンサル的にマネジメントしたりすることは不可能ではありません。
ただしそれは、転職先の企業がそれを求めている場合です。
「上級管理職といえど実務レベルから身につけてほしい」と期待されているのであれば、「いや、私は前の会社でそんなことはしていなかったし、今更する気もない」ではマッチングするはずがありません。
マッチングがうまく行かなかった実例
管理人の会社で役員候補が退職したのは、まさにこのケースに該当します。
例えばの話、管理本部長として入社した人が、人事をメインにやってきたため経理はやったことがない、ということは往往にしてあるわけです。
それに対して、雇用先が
「あなたは管理部門全体を統括するのだから簿記2級ぐらいの知識は当然持ってほしい。法務も実務レベルで身につけてほしいし、社内インフラも業者とやりとりできるぐらいにはなってほしい」
と期待することはある。
しかしながら例えば50代も半ばになり、人事制度や業務改善だけで役員まで行った人が、20代の若手に混ざって一から帳簿をつける、というのはプライドが許さないでしょう。
「なんで俺がこんなことを?」と思ってしまう気持ちは充分に理解できます。
会社は「どのレベルでやってほしいか」を説明すべき
マッチングのミスによる優秀な人員の退職を防ぐためには、会社は「今まで実務レベルでやってこなかったことをやってもらう」ということを伝えるべきです。
若手や中堅層まではそんなことは当然だと思っていますが、これが上級管理職レベルになるとその意識が薄れるのです。
もちろん彼らも優秀ですから、業界のことや会社のことを学ばなければならないという認識はありますし、実際に入社するまでに業界のことや会社の経営状況を理解してくることがほとんどです。
しかしながら、では自分が何をするか、ということになると「ミッション」は理解していても、まさかタスクをやらされることになるとは思っていなかった、というケースがあるわけです。
これでは互いにとって不幸な結果になるのは明らかです。
上級管理職や役員であっても、実務をしてもらわなければいけないことはあります。
しかし会社にとってはそれが当たり前でも、相手がそれを理解しているとは限りません。
特に会社の規模が異なり、大企業から中小・零細に転職してくる場合はなおさらです。
不幸な結果を防ぐためには、優秀な相手にほど「やってもらうべきタスク」を伝えましょう。
それでは今日はこの辺で。
明日は「日焼け対策をしているか」を予定しています。