こんばんは。SMEです。
今日は最近読んだ書籍のご紹介。
「欲望する『ことば』 『社会記号』とマーケティング」を読んでの感想などをご紹介します。
マーケティングのみならず、ビジネスパーソンとして考えさせられる書籍でした。
「欲望する『ことば』 『社会記号』とマーケティング」の概要
ここでご紹介する「欲望する『ことば』 『社会記号』とマーケティング」という書籍は2017年の12月に集英社新書から発行されています。
嶋浩一郎さん(博報堂ケトル共同CEO)と松井剛さん(一橋大学教授)が一章ごと交互にテーマに沿った文を書き、最後にお二人の対談を収録するという珍しい作りの新書です。
その分、学術的というよりは新書らしい軽やかで分かりやすい書籍になっているという印象を受けました。
内容としましては、サブタイトルである「『社会記号』とマーケティング」からも分かる通り、
- インサイトが顕在化すると新しい言葉が生み出される
- 新しく生まれた言葉が「社会記号」化するとマーケットが生まれる
ということが書かれています。
もちろんこれだけでなく分かりやすい例で社会記号が発見されるプロセスやメデイアと社会記号の関係性などを書いているのですが、コアとなる部分は上記の二点かと思いながら書籍を読みました。
我々はインサイトを見つけられるか?
インサイトという言葉はなかなか訳しにくい言葉ではあります。
洞察・見識などと訳されることが多いですが、マーケティング用語として考えると
「言語化されていない欲望」
といった意味合いが一番分かりやすいのかなと思います。
(シーンによっても使い方が異なるので、一概にこの意味が正しいとは言い切れませんが…)
「こんなサービス・ものがあったらいいな」の前段階。
実際に新しいサービスや商品が発表・発売された時に「そうそう、こういうサービス・ものが欲しかったんだよ!」と思わされてしまうような「不便さ」「願望」、それがインサイトだと言えるのではないでしょうか。
マーケティングは「売りたいものを売る」段階から遠く離れ、「隠れた欲望を顕在化させ、パッケージングして商品化する」ことが求められているわけでしょう。
我々中小企業で(マーケティング以外を主戦場として)働くビジネスパーソンとしては、
「何か難しいこと言ってるけど、それがどうしたの?」
という感じかもしれませんが、ちょっと待ってください。
この書籍「欲望する『ことば』 『社会記号』とマーケティング」における
- インサイトが顕在化すると新しい言葉が生み出される
- 新しく生まれた言葉が「社会記号」化するとマーケットが生まれる
という考え方、これは普段のビジネスシーンでも役立つのです。
ビジネスパーソンとロゴス
ビジネスパーソンにとって「事象を言語化すること」は必須スキルながら人によって大きくレベルが異なります。
稟議書やレポート、メールや口頭でのホウレンソウなどでもそうですが、会議やチームの意見をまとめるのだって同じです。
過去や現在、つまりすでに発露された(されている)ことについてはまとめることができる、という人は多いはずです。
しかしビジネスにおいて求められるのは「過去」「現在」を元に「未来」を語ることができる能力です。
「発露されていることはまとめられる」という人と「発露されていることもまとめられない」という人がほとんどである中で、「発露されていないこと=インサイトを見つけてまとめることができる能力」というのはもの凄く貴重です。
人事総務でも営業でも「そうそう、こんなことを困っていたんだよね」「誰も気づかなかったけど、実はここにコストがかかっていたんだね」という解決例や改善例が出れば、それは社内で記号化しえます。
記号化すればそこに担当者ができたり部署ができることもありえます。
「社内サポートチームができた」というのはその一例でしょう。
そう考えると、「俺はコーポレートスタッフであって営業推進部門じゃないからインサイトなんて関係ないんだもんね」とは言い切れません。
インサイトを発見するということは、ロゴスを追求することであると管理人は思います。
「欲望する『ことば』 『社会記号』とマーケティング」はあらためてそのことに気づかせてくれました。
さくっと読める書籍なので、ぜひご一読をお勧めします。
では今日はこの辺で。
明日は「新入社員には自分から話しかけなさい」を予定しています。