面接の技法 その3 面接官は面接で何を見ているのか?

採用の責任者が、その手法について誰にも教えてもらえないまま臨む「面接」。

では、面接官は応募者の何を見ているのでしょうか?

今日は、接を受ける方にも役に立つお話です。

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大抵の企業で、面接の社内合意はない

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前回、前々回と書いてきたように、大抵の面接官は面接の素人です。

もちろん、会社によってはしっかりと面接の哲学がある人もいますし、人事畑を歩いてきて中途で入社し、転職先でその知識をしっかり発揮できる人もいます。

しかし管理人の経験でいえば、例えば自分の上司や役員がそれを受け入れてくれるとは限りません。

本来であれば社内でしっかりと

「我々が採用したいのはどういった人なのか」

「そのために面接で何を見るのか」

「どういう面接をすればそれが見抜けるのか」

を話し合い合意しておくべきなのですが、特に年輩の上級職だと

「雇ってやってるんだ」

といった意識がある方が未だにいることは否めません。

管理人も、面接では必ず誰かにお茶を出してもらって、相手がその時にちゃんと会話をやめてお茶出しをしてくれた人にお礼を言えるか見たいのですが、同席する部長クラスや役員によっては

「面接に来た人にお茶なんか出す必要がない」

と言われてしまったケースもままありました。

はっきり言って、社内上層部でこういった考えが当たり前になっている企業が、これから採用市場で優秀な人を採用し続けていくというのは不可能に近いです。

当然、社内で「当社はどのような面接をするか」など合意できるはずもありません

 

面接官は応募者のどこを見ているのか?

それでは、そんな「雇ってやるんだ」「面接してやってるんだ」という意識が抜けきらない面接官は、応募者のどこを見ているのでしょうか?

もちろん面接について教育も受けていない以上、価値観は人によって違います。

ですがまず間違いないのは

「自分(面接官)に合うかどうか」

これだけはまず無意識に見ていると言って間違いありません。

真面目な面接官は真面目な人を評価しますし、数字が好きな人は数字で説明できる人を評価します。

間違っても「はい、では2分以内で自己紹介をしてください」というところから面接を始める堅物の総務部長が

「さっきの彼は私とは全く価値観が合わないが、ユーモアがあって、これからの当社にはああいう人も必要じゃないか。社長が反対してもぜひ採用しよう」

などと言うことはありません。

とはいえ、大抵の面接官がこの延長線上にいるわけで、真面目にしてしっかり自分の経歴や志望動機を「暗記」していればまず間違いはない。

だから「面接でよく出る質問」などというものが出回るわけです。

逆に雑談しかしてこないタイプの面接官もいますが、こういった人はあまり「採用した後」のことを考えておらず、「自分と話が合うかどうか」だけで「話が合うからいい人だった」という一点で応募者を評価します。

どちらにせよ、

「しっかり暗記していって、面接官が堅物タイプだったら暗記したことを堂々と話し、もしも相手が雑談タイプだったら雑談に乗る」

だけで面接の通過率は格段に上がります

 

面接は「お見合い」である

管理人はよく面接で応募者の方に

「面接はお見合いみたいなもの」

だと言います。

この言葉は使い古された言葉で、管理人自身が面接を受けたときも何度も言われたことがあります。

また管理人が面接官として面接を実施している際に、同席している部長や役員が口にしたのを聞いたことも何度もあります。

しかしこの言葉を深く考えて使っている人はいないように感じます。

管理人が言う「お見合い」というのは、

「これから結婚(入社)するんだから、いいところも悪いところもしっかり見て、お互いに間違いがないようにしましょうや」

ということです。

しかしながら「面接はお見合いだ」と口にする人でも、

「相手のいいところを見て、こちらもいいところしか言わず、相手には結婚(入社)したいアピールを見せて欲しい」

くらいの意識しか持たずにやっている人が大半です。

結局企業側も綺麗事しか言わず、相手からは本音を引き出せず、お互いに騙された騙されたと言っては入社した応募者は社内の不満分子になっていくわけです。

どう考えても非生産的であり、こんなことを繰り返す面接に意味があるはずはありません

 

企業にとって面接はそれでいいのか

ある程度能力がある応募者にとっては、面接なんて簡単です。

「しっかり暗記していって、面接官が堅物タイプだったら暗記したことを堂々と話し、もしも相手が雑談タイプだったら雑談に乗る」

これだけで、大抵の中小企業であれば面接の通過率は格段に上がります。

中途採用であれば一次面接はほぼ通ると言ってもいいでしょう。

問題は、企業はそれでいいのかということです。

明確な

「我々が採用したいのはどういった人なのか」

「そのために面接で何を見るのか」

「どういう面接をすればそれが見抜けるのか」

という指針がなく、またそれについて面接・採用に携わる人の合意形成がなされていない限り、いつまで経っても

「面接する中で一番偉い人が応募者を気に入れば入社」

みたいな定性的とすら言えない面接が繰り返され、せっかく採用した人が定着しないか、したとしても社内不満分子として「こんなはずじゃなかった」という思いを互いに抱くことになるわけです。

 

これから先、日本は少子高齢化も進み「優秀な人」を採るのが難しくなることはあえていうまでもありません。

管理人が見ていても、優秀な人を採用できる企業とそうでない企業は明らかに二極化しています

面接に携わる人は危機感を持って

「我々はどんな面接をするのか」

をしっかり考え、社内で合意をして面接に臨んで欲しいと強く願います。