採用現場の生産性が低すぎる

こんばんは。SMEです。

採用面接をした内、何名に内定を出せていますか?

 

 

某企業の面接で

先日、某企業の面接を受けてきました。

前にも書きましたが管理人は「面接には企業の全てがある」と思っています。

そのため面接を受けるのが好きですし、HRをやっていく上では様々な企業の面接を受けることが勉強になるとも思っています。

(もちろん、「全員とお会いします」みたいな面接は別ですが)

その日に受けた面接は、役員一人と部長一人、そして課長一人の面接でした。

終わり頃になって課長さんが

「多くの方が面接に来られていますので、結果のご連絡まで少しお待ちください」

と言いました。

管理人は興味を持ち「どれぐらいの方を面接されているのか?」と伺ったところ、「今までで大体10名ぐらいです」とのことでした。

管理人はお礼を言いながら心の中で思いました。

「それって生産性低くないですか?」

 

 

生産性が低い面接

その採用枠は一名でした。

条件面も管理人のキャリアとは若干異なり、正直に言えばよく書類が通ったな、という印象でした。

万が一内定が出ても断ろうと思っていましたが世間はそんなに甘くなく、先方からもエージェントを通してお断りの通知をいただきました。

エージェント担当者に不採用の理由を伺ったところ、

「他の方に比べると経理の経験がないため、弱かったということです」

とのことでした。

しかしそんなことは書類で分かっていたはずなのです。

管理人は面接を受けるのが好きですし、学ぶところも多かったためいいのですが、問題は企業の側です。

面接は大体1時間かかったので、その時間だけでも恐らく1万円近い人件費が発生しているはずです。

それが10名となると10万円

その中で採用できるのは1名なのです。

ということは、最低でも9万円は何の利益も生み出さないコストになってしまうわけです。

面接をセッティングするための時間もかかっているでしょうし、履歴書を読んだり調べ物をする時間もかかっているでしょう。

となると、一人を採用するために無益なコストが何十万と発生しているわけです。

 

 

内定を出せない面接に意味はない

「いや、応募者の中で理想の人を探すわけだから、決して無駄なコストではない」

という意見もあるかもしれません。

しかし、管理人の例で言えば明らかに経理の経験はないのです。

経理の経験がある人がマストなのに経理の経験がない人と会う」

のは無駄以外の何ものでもありません

もちろん、例えば人事担当者を育てていくために面接をさせ、人を見る力を養わせるというのであれば、それは単なるコストではなく必要な経費だということになります。

しかしそうでなければ、それはただの無益な時間です。

何の本だったか失念してしまったのですが、著者が工場で先輩に

「見ろ。この火花が散る瞬間だけがお金を生み出しているんだ」

ということを言われた、という話を読んだことがあります。

(ちょっとうろ覚えですので表現が違うかもしれませんが)

採用もこれと同じです。

内定を出せる人と会えた時だけが利益を生み出すのです。

それ以外の面接時間に意味はありません。

採用を断られた方としても、「履歴書や職務経歴書を見ればわかる理由で不合格になった」ということであれば、わざわざ面接に行く必要がなかったのではないかと思ってしまいます。

当然、企業に対していい印象は持ちません。

 

 

採用担当者も適正に評価されるべき

正直に言えば、採用担当者に対する評価は大抵の企業で「適当」です。

適当といって悪ければ、一面的な数値か、または「いい人をとったね」という「イメージ」でしか評価されていません。

しかし本来、人は企業にとって根幹となるもののはずです。

費用もかかります。

そのため、採用担当者はもっと厳しく評価されるべきなのです。

「採用した人は3年後、5年後も定着しているのか?」

「採用した人がどれぐらい利益を上げているのか?」

ももちろんですが、同じように「面接における精度を上げているかどうか」つまり、「面接した人数における採用者の割合を上げられているかどうか」はもっと厳しく見られるべきでしょう。

「今日も面接だ、忙しい忙しい」と言いながら、一人の採用枠に対して20名の面接をしているということは、採用成功率は5%ということです。

ということは、面接における95%の時間はムダということになるわけです。

書類審査の基準を上げれば、ムダは確実に減らせるはずです。

 

 

ゴールを設定すべし

ではなぜ、面接の生産性は上がらないのでしょうか。

それは企業側に、「こういう人を採用したいし、採用市場には実際にこういう人が存在しうる」という確固たる指標がないからです。

つまり「はっきり分からないけど、凄い人が来てくれたらいいな」というぼんやりしたゴールのままで採用を行っているわけです。

そのため書類審査の基準があいまいになる

ゴールを決めていないから多くの人と会わなければいけなくなり、生産性が下がるのです。

「このスキルとこのスキルは最低限。あとはプラスであれかこれ。採用市場から見ても、データからも通勤圏内にこういう人は一定数存在する」と決めていれば、その基準に達していない人とは会う必要がありません。

確かに人柄や話し方、雰囲気などは大切です。

しかし現代の日本ビジネス界において、「一名枠の中途採用だが、ポテンシャルと人格さえよければ即戦力じゃなくても構わない」ということはほぼないはずです。

 それであれば、「この基準は欲しい」というゴールを決め、それに合いそうな人とだけ会った方が生産性は高いでしょう。

実際に、何か月にも渡って同じポジションの採用広告が掲載され続けているというケースはよく目にします

掲載費もかかっているわけですし、その間面接を続けているとなれば、その間コストがかかり続けているわけです。

 更に厳しいことを言えば、毎日誰かと面接をしていたり、あるいは応募者が増えたりすると、採用担当者は一見して仕事をしている・成果を出しているように見えます

しかし、採用に至らない面接に意味はないのです。

 

一般的に言えば、管理部門というのは利益を出すのが難しい部門です。

また社内の人事自体はとても泥臭く、時間もかかるものです。

「勝てる管理部門」を作っていくためには、生産性を上げられるところでは上げ、泥臭い部分には必要な力を割けるようにする必要があります。

 

 

それでは今日はこの辺で。

明日は「『危険な経営者・上司』3つの特徴」を予定しています。