ふと気が付いてみれば久し振りの「ビジネスパーソンが読みたい本」。
今日は内田樹の「下流志向〜学ばない子どもたち 働かない若者たち」をご紹介したいと思います。
保守主義者と内田樹
いきなりこんなことを言うのも何ですが、管理人は自称・保守主義者です。
保守主義者というとネガティブなイメージがあるかもしれませんし、あるいは管理人がダイバーシティについて何度も書いているのを読まれると、「どこが保守主義者だ」と思われる方もいるかもしれません。
この辺りを掘り下げていくとかなりの分量を書くことになってしまいますし、またこのブログは政治思想的なことを主張するブログでもありませんので割愛しますが、それでも
「自称・保守主義者が内田樹を敬愛することに一貫性はあるのか?」
という疑問は残るかもしれません。
「おじさんの思想」
この点についてだけ語りたいのですが、その著書で何度も書いているように、内田先生の主張は基本的には「おじさんの思想」です。
管理人が翻訳するとこれは「昭和のお父さんの主張」であって、国やら自治体やら若い者やらを批判しながらもそれでも日本を愛し憂う、というのが「おじさんの思想」なのではないかと思います。
その点では内田先生の主張はラディカルなものではありません。
管理人は保守主義者であった西部邁氏を深く尊敬していますが、一見対局の立場にいる二人の考えは、根っこでは一緒なのではないかと思っています。
内田氏が西部氏を批判した文章を読んだことはありますが、膝付き合わせて話してみると意外と意気投合したのではないかと言う気がします。
内田樹「下流志向」について
前置きが長くなりましたが、その内田先生が書いた「下流志向」は、現代日本における
- なぜ子供達は勉強をしなくなったのか?
- なぜ若い世代は仕事をしなくなったのか?
を考察する本です。
思想的な本ではありますが、もともと内田氏の書き方・伝え方が分かりやすいのと、また内容が講演で語られたことを元に再構築されたこともあり、非常に読みやすい内容となっています。
一冊の本で表現されている内容を一言で伝えるのは難しくもありまた誤解を生みかねないとも思いますが、あえて言えばそれは
「(短期的に)損をすることはしない」
という思想が蔓延したためだと言えるでしょう。
内田氏の主張と展開は非常に分かりやすく腑に落ちる上に、疑問にさえ思っていなかった社会の構造について考えを至らせてくれます。
子を持つ親御さん、また部下を持つビジネスパーソンはぜひ一読をお勧めします。
それでは今日はこの辺で。
明日は「カタカナを多用しない」を予定しています。