どんなに仕事ができても、働いているのは結局「人」。
理屈だけで納得できることばかりではありません。
正論で人を動かすのは難しい
以前に夏目漱石の「坊ちゃん」を引き合いにしたことがありますが、やはり人はロジックよりも好き嫌いで動いてしまうものです。
それが間違いだというのは正論ですが、それこそ正論で人を動かすのは甚だ困難です。
「仕方ないがあいつが言うことだから聞いてやろう」ということもあれば、逆に「あいつが言うことは絶対聞きたくない」と思ってしまうこともあるのが人という生き物なのです。
「自分はそういうことはすまい。誰が言っているかではなく何を言っているかで判断しよう」と管理人は心がけてはいますが、それを他人に強制し、「僕が言っているかどうかじゃなくて内容で判断してくださいよ!」と言うことはできません。
それがまかり通れば、人脈つくりも周囲に認められるための努力も必要ないことになってしまいます。
正論だから聞いてもらえないこともある
管理人が昔、同僚に言われたのが「正論だから聞いてもらえないこともあるんだよ」ということです。
今でもこの同僚は凄かったなと思うのですが、彼が言っていたのは
「正論には反対できない」
ということです。
「生産性を上げましょう」
「残業時間を減らしましょう」
「好き嫌いで人を判断するのはやめましょう」
「備品は大切に使いましょう」…
どれも正論であり、反対する人はいないでしょう。
しかしそれを面と向かって言われたらどうでしょうか。
「現場には現場の苦労がある」
「こっちだって好きで残業してるわけじゃない」
「そういうことを言うから嫌われるんだよなぁ」
「それなら新しい備品買ってくれよ」
…。
そんな心の動きが思い浮かびますが、かといってそんなことを表立って口にできるわけでもありません。
一般的に正しいことというのは反対できないことだからこそ不満も溜まり、だからこそ誰にも響かないのです。
ロジックは全てではない
この記事でも書いていますが、ロジックの正しさに自己陶酔してしまっても人は聞いてくれません。
ロジックとして完璧だから人が聞いてくれるというのは勘違いであり、やはり同じことを口にしても聞いてもらえる人と聞いてもらえない人がいるのは事実です。
だからこそマネジメントをする上では、耳に心地よい空疎な正論を口にするのではなく、実効性のあることを考え、少しでもその確率を上げるようにする必要があるのではないでしょうか。
それでは今日はこの辺で。
明日は「大切なのは過程か結果か」を予定しています。