管理人の本棚からビジネスパーソンにお勧めする「ビジネスパーソンが読みたい本」シリーズ。
3回目は色川武大(阿佐田哲也)「うらおもて人生録」のご紹介です。
色川武大(阿佐田哲也)とは
3回目となった「ビジネスパーソンが読みたい本」。
今日は阿佐田哲也の「うらおもて人生録」をご紹介したいと思います。
本名の色川武大よりも、一部には「阿佐田哲也」の方が通りがいいかもしれません。
管理人は中学生の時にこの小説に出会い、貪るようにして一日で読んだ記憶があります。
「麻雀の神様」の異称の通り麻雀小説の第一人者として有名な阿佐田哲也ではありますが、本名の色川武大名義でも余人には書き難い小説を発表しています。
色川武大名義の小説も本当にクールでかっこいい。
何と言ってもこの人にしか紡ぎ出せない文体が本当に素晴らしいのですが、今日は色川武大として発表したエッセイ(と呼んでいいのか)、「うらおもて人生録」をビジネスパーソンにお勧めしたく思います。
「うらおもて人生録」とは
「うらおもて人生録」は色川武大が若い人たち、なかんずく子供たちに向けて「生きるセオリー」を著したエッセイです。
「何だ、子供向けか!」と侮るなかれ。
この本には、ビジネスパーソンが仕事をする上ではっと気づかされることがたくさん書いてあるのです。
対象として若年層、さらには著者いうところの「劣等生」をイメージして書いていることもあり、言葉遣いは非常に平易です。
一つの章も5〜6ページとボリュームも少なく読みやすい。
まとまった時間を作りにくいビジネスパーソンであっても、合間あいまに読み進めやすい本です。
また「人生録」という題名ではありますが、抽象的な概念を語ったり説教じみた言葉が羅列されたりということは全くありません。
「はじめに」で著者が書いている通り、生きる上での「セオリー」が語られているため今日からでも参考にしやすいのです。
「しのぐ」という考え方
色川武大「うらおもて人生録」には以下のような話がたくさん出てきます。
(内容は管理人が要約しています)
「プロはフォームが大切だ。そしてフォームは自分で作らなければいけない」
「9勝6敗を狙え。14勝1敗の相手を1勝14敗にすることはさほど難しくない。だが9勝6敗の相手を1勝14敗にすることは至難の技だ」
「本当に勝つということはスケールで勝つということだ」
まだまだ紹介し足りないのですが、管理人がもっとも感銘を受けたのが「しのぐ」という考え方です。
「しのぐ」とは「攻めもせず守りもしない、睨み合って一線を維持している」ことだと色川武大は言います。
そして、人生というのはしのいでいくことだと続けます。
この考え方は、仕事をする上でとても大切だと管理人は思います。
「しのぐ」ことでトラブルを最小限に抑える
例えば想定外のトラブルが発生した時、人はどうしてもそれをゼロまで戻す、あるいは失点を回復するためにプラスにしようと努力するものです。
しかしそれには多大な労力を費やしますし、返ってその後の処理がおろそかになってしまうことも無いではありません。
「しのぐ」という考え方は、必ずしもトラブルによる損失をゼロあるいはプラスにするのでなく、「どうすれば最小限の被害で食い止められるか」 「どこまでなら我慢が効くか」を冷静に考えさせてくれます。
実際に管理人も「しのぐ」という考え方でトラブルを乗り越えた経験が何度もあります。
若年層向けの人生論だと敬遠せず、ぜひ色川武大の「うらおもて人生録」を読んでいただきたいと思います。
それでは今日はこの辺で。
明日は「泥臭さを恐れるな」を予定しています。