こんばんは。SMEです。
今後、地方で物流に関わる中小企業はどのように生き残っていくのでしょうか。
物流と関わらない企業はまずない
モノのやりとりが全くない企業というのはないでしょう。
BtoBだろうがBtoCだろうが、モノを仕入れる時や売る時に物流はつきものですし、サービス業であっても備品を購入する際はアスクル、モノタロウなどで注文することが多くなっているのではないでしょうか。
たった一日だけでも、全くモノのやりとりがない、物流と関わらないという企業は少ないかと思います。
モノを動かす以上は物流と関わることになります。
仮に仕入れで「モノを受け取る」のがメインであっても、当然ながら納入価格には物流コストが上乗せされているわけです。
仮にですが「自社物流を使えば仕入れ値が大幅に下がる」ということになれば、何も相手の言うがままに物流コストを含んだ金額を支払う必要もない。
とはいえ現実的に自社物流を備え、納品のつど相手先まで品物を受け取りに行くというのも現実的ではありません。
大手物流業者と地方の物流業者は得意分野も異なります。
地方にある中小物流企業が全てなくなってしまう、ということは考えにくいでしょう。
今後、物流コストは下がるのか?
少子高齢化が進み労働人口が減る中で、物流コストが下がることは考えにくいと思われます。
今でも物流業界ではドライバー不足に悩んでいますが、他の業界に比べワーカーレベルでの給与水準が低いため、なり手がどんどん減っています。
かといってドライバーの給与を上げて待遇を改善することで人員を確保しようとすれば、それは配送コストに跳ね返ります。
物流業界が苦しんでいるのと対照的にEC小売業は成長を続けています。
大口顧客を確保し同業他社との競争に打ち勝つためには、どうしても人件費を下げる必要があります。
人件費を下げれば働き手がいなくなり、人件費を上げれば他社に負けて仕事がなくなる。
どの業界も一緒といってしまえばそうかもしれませんが、物流業界の悩みは深刻です。
物流は「減点法」でしか評価されない
物流業界のつらいところは、減点法でしか評価されにくいと言うことです。
企業人としてもプライベートでも経験があるでしょうが、荷物が遅れてしまうということはゼロではありません。
道路が事故で混雑していた、物流センターでトラブルがあった、荷物が別のところに行ってしまった。
様々な理由で到着は遅れます。
しかし、受け取る方にしてみれば荷物は「遅れない」のが「当たり前」です。
指定した時間の通りに荷物が届いても、
「おお、ちゃんと時間通りに着いたじゃないか! すごいね!」
とは褒めてもらえません。
逆に少しでも遅れるとそれだけでクレームに繋がるわけです。
時間通りに着いて当たり前、少しでも遅れたら怒られる。
考えてみれば「岡山から送った荷物が指定時間通りに東京に着く」というのはすごいことだと思うのですが、ユーザにしてみれば時間通りに着くことが判断基準であり、少しでも遅れたり荷物が破損していたら怒られる、ということになるわけです。
更に言えば、物流は付加価値がつけにくい。
「頼まれたモノを届ける」というのがサービス概要であるため、付加価値をつけて利益率を上げることが難しいわけです。
自然、利益率を上げるためにはコストを下げるしかない、ということになってしまいます。
どうやって差異化を図っていくか
しかしながら地方物流企業が差異化を図っていくには、コストを下げるだけでは限度があります。
ヤマト運輸や佐川急便などの大手ならともかく、地方中小企業がコスト競争に乗り出せば最終的には「採算を度外視して仕事をもらう」という結末になるのは火を見るより明らかです。
サードパーティロジスティックスの充実を進めている企業も多いですが、今度は「ハコ」が必要になります。
できるだけ多くのロジスティックセンターで同じ在庫を抱えることで「特定の場所からしか荷物が届かない。それには時間がかかる」という事態を防げるわけですが、それを実現するためには土地も人も必要です。
何だか暗澹としてしまいますが、やはり地方物流企業が生き残るためには、サービスの差異化を図って付加価値を生み出していくしかないのではないか、と管理人は思います。
例えば女性ドライバーだけの部門を作る。
高齢者向けにスーパーと提携した配達サービスを始める。
あるいはケーキや生花など、日持ちのしないものを運んでくれるサービスを行う。
現実的には課題もありますし採算を取るためにはマーケティングも必要ですが、コストダウンには限界があります。
物流なくしては地方経済は成り立ちませんし、生活も成り立ちません。
ぜひ心ある地方物流企業が新しいビジネスモデルを作り出してくれれば、と願っています。
それでは今日はこの辺で。
明日は「ビジネスにおいて物事をポジティブに捉えることの大切さ」を予定しています。