中小企業における「新・日本型雇用」からの脱却

こんばんは。SMEです。

大層なタイトルですが、単純に

「今、日本ではどういう雇用の仕方がスタンダードになっているのか」

そして

「その問題は何であり、どうすればよいのか?」

を考えようかと思うわけです。

 

 

旧来の日本型雇用

釈迦に説法ではありましょうが、旧来の日本型雇用についてざっくりまとめると

が三大特徴と言われ、ジョブローテーションを行いながらゼネラリストを育てていく、というスタイルが主流でした。

これに対して欧米では自分のスキルを活かし、転職して給与を上げていくというスタイルが古くから存在していたわけです。

もちろんこれは必ずしも全てではありませんが、少なくとも日本において

「転職なんて当たり前、終身雇用が全てではない」

という風潮になってきてのはたかだかここ20〜30年くらいのものだと感じます。

 

 

日本型雇用はどういう意味で「終わった」のか?

転職が当たり前になり「日本型雇用は終わった」と言われますが、ところでそれはどういう意味で「終わった」のでしょうか?

1990年代前半に国民生活審議会が「弾力的に日本型雇用を見直しなさいよ」という提言書を出しています。

これは名目としてはワークライフバランスの重視のため」というものでしたが、バブルが崩壊し不況に足を踏み入れ始めた日本の、さらに言えば中小企業にとっては「渡りに船」だったわけです。

大企業でも大規模なリストラが行われ、「非正規雇用従業員でできることは非正規雇用で」という風潮が生まれ、そしてそれはすぐに定着しました。

そこで生まれたのが管理人が勝手に名付けた「新・日本型雇用」です。

 

 

「新・日本型雇用」とは?

管理人が思う新・日本型雇用の三大特徴は以下です。

  1. 正規雇用従業員の拡充
  2. スペシャリストの中途採用
  3. 年功序列により上がっていく給与制度の廃止

つまり

「正社員じゃなくてもできることは非正規雇用にやらせて、スペシャルリストじゃないとどうしようもないことは中途採用でなるべく安く補充しよう。中途採用は入社時点からそれなりに給料を出さなきゃいけないんだから、給与テーブルも変えて、昇給の幅をぐっと下げよう」

ということなわけです。

要するにこれは

「人件費をなるべく安くして、長期的に人を育てるのをやめよう」

ということです。

 

 

新日本型雇用ではミドルが育たない

管理人も繰り返し書いていますが、昭和から存続する中小企業の多くでは、現在ミドルが育たないことが大きな問題となっています。

ウソだと思う方は求人サイトなどを見てください。

「35歳から55歳 課長」「30歳から50歳 部長」「35歳から45歳 課長または部長」…

年齢の幅はありますが、いわゆるミドル層が「相当程度少ないため」という理由で求められています。

若い頃から安い賃金でスペシャリストとしての仕事しかさせてこなければ、会社全体を見渡せるゼネラリストなど社内から出てこないのは当然です。

しかし状況はどこも変わりません。

結局、どこでも

「若い頃から安い賃金でスペシャリストとしての仕事しかしてこなかった」

層がミドル層の年齢になってしまっているため、募集をかけても人が集まるわけはないのです。

応募してくるのは、自社にいるのと同様に一つのことだけやってきて「つぶしがきかない」ミドルばかり。

はっきり言って「特定の会社で特定のことしかやってこなかった管理職」を管理職として迎え入れて新しいことを教えるくらいなら、新卒を育てた方がまだマシなわけです。

確かに大手総合商社やメーカーには、若い内から総合職としてゼネラリストの経験を積んできた人材がいるでしょう。

しかしそういった人たちが給料も下がれば事業規模も小さくなる地方の中小企業に転職するでしょうか?

 

 

どうすればよいのか?

本気でこの問題に取り組もうとするならば、社内の構造改革をするしかありません。

要は、正社員比重を増やしてジョブローテーションを復活させるのです。

「それでは人件費が増えてしまう」

というのは確かにその通りです。

しかし、極端に言えば

  1. 人件費が増える
  2. 経営職が育たず会社が潰れる

の二択なのです。

「年収500万以下で、大手で様々な経験を積んだ部課長クラスの人材が欲しい。転職経験もない人が望ましい」

などというのは夢物語に過ぎません。

厳しいことを言うようですが、自社が

「初めて転職するミドル層に選んで貰える会社か」

冷静に考えてみた方がよいでしょう。

このブログで前から書いているとおり、大切なのはダイバーシティを導入し、週四勤務の管理職や時短正社員をどしどし導入していくことです。

自身で何か事業をしていたり家庭の都合がある優秀な人材を確保できますし、相対的に給料も抑えることができます。

 

かつては週六日の労働が当たり前でしたが、今は週休二日制が当たり前になっています。

週四勤務も決して不可能ではありません。

先に導入した企業は優秀な人材を根こそぎ確保し得ます。

ぜひ新・日本型雇用からの脱却を目指しましょう。

 

 

では今日はこの辺で。

明日は「コンテンツマーケティングはBtoBの中小企業を救済するか?」を予定しています。