「緩やかなコミュニティ作り」が中小企業を救う3 ユニクロの「距離感」

こんばんは。SMEです。

さて、緩やかなコミュニティ作り』が中小企業を救う」

今日は三日目です。

 

 

なぜ若くて流行に敏感な世代が見捨てないのか?

マクドナルドもスターバックスユニクロも、「保守安定」ではあるでしょう。

それではなぜそれらのお店は「若くて」「流行にも敏感な」人たち

「はぁ? 今時もうスタバじゃないだろ」

と切り捨てられないのか。

もちろん企業ごとの努力はあるでしょうが、管理人が強く思うのは、それらのお店は

「知らない他人と距離を取れる」

からです。

更に言えば

「他人との距離の取り方を自分で決められる」

からだとも言えます。

これが、大衆的になろうが保守安定になろうが若者から見捨てられない企業の特徴だと思うわけです。

 

ユニクロの「距離」

ご存知の通り、アパレルショップであるにもかかわらずユニクロではお客様に対し、店員が積極的に声がけをしません

管理人は昔少しだけアパレルで働いていましたが、普通アパレル業界では「お声がけ」は必須です。

「お声がけ」をしないと、お客様が他店舗に流れるからです。

言ってしまえば、アパレルの店員がお客様に声をかけるのは、「ロックオンするため」です。

しかしユニクロでは、店員が積極的にお客様にお声がけすることはありません。

それはもちろん、様々な理由が考えられます。

  • 単価が低いため、ロックオンする必要がない
  • 売り上げと人件費のバランス上、お声がけをする人件費の方が無駄である
  • 商品が特殊で、他店舗に流れにくい
  • サイズ・色を全て陳列しており、お声がけしなくてもお客様が自分で商品を見つけられる

などなどあるでしょうが、結果的にそれは

「店員に煩わされず、一人で・あるいは家族や友人とゆっくり買い物を楽しめる」

というサービスを提供することになりました。

 

普通のアパレルは「店員が迫ってくる」

皆さんも経験があるかもしれませんが、服を選んでいる時に店員に声をかけられるのは正直に言ってあまり気分のいいものでもありません。

「かっこいいけど高くて買えないな」

「ふーん、この値段か。ネットだともっと安く買えそうだな」

「いやー、何かこういうおしゃれなところで服見るのって緊張するよなぁ」

などと思っている時に、

「お客さま、よろしければサイズお出ししましょうか?」

などと言われると、「まずい! 逃げなきゃ!」と思ってしまうものです。

普通のアパレルでは、こちらが距離を置こうとしても店員が「迫ってくる」わけです。

しかし「店員が迫ってくるのが嫌だ」と言って、そうでない店で服を買おうとすると、スーパーの二階にある全品1900円コーナーでワゴンセールのダサいTシャツを買う、ぐらいしか選択肢がなかったわけです。

そこにユニクロ

「おしゃれな服を自分で好きなように見て回れる」

というビジネスモデルを生み出したのです。

しかも値段が安い。

これによりユニクロ

「おしゃれな服を着たいがお金があまりない」

という若い層のみならず、

「おしゃれな服を着たいが店員がうざい」

という、若者以外の層も取り込むことができたわけです。

実際にユニクロに行くと、壮年や年配者が一人で、あるいは家族と一緒に服を選んでいます。

「安くてそれなりにおしゃれな服を自分(たち)で選びたい」という人たちがいかに多かったか、ということを思い知らされます。

 

ユニクロは買い物客が店員との距離を選べる

しかしながら、ユニクロは「安い服を売ってるんだから、店員はサービスをしませんよ」というわけではありません。

コンビニのように基本的にはレジにだけ人がいて、買い物客は買いたい商品をピックアップしてレジに行くだけ、ではないわけです。

正直、システィマティックにやろうと思えばもっとシスティマティックにできるのではないかと思います。

裾上げもお客さま自身が自分で計測できるツールを提供してレジに持っていく、レジでは受け取ってその場で預かり、一定の量が溜まったら裾上げに回す、ということは可能なはずです。

現に(裾上げはしていませんが)、子供向けのアパレルで常時2名で店を回している大手企業もあるわけです。

しかしそれをしないのは、ユニクロが顧客に対し、

「店員との距離は自分でお選びください」

という価値観・サービスを提供しているからだと思います。

(何だか褒めすぎで、ユニクロの回し者みたいですが)

つまり、商品を自分で選んで会計だけしてもらいたいお客さまはレジまで店員と会話をせずに済みますし、試着の時にサイズ感などを見てもらいたいという場合にはフィッティングに店員が待機している。

「聞けば答えてくれるが自分からは話しかけない」

「常に店員が側にいるわけではないが、目につくところには必ずいる」

という距離を提供しているわけです。

これはやはりすごいことだと改めて思いますが、この「距離」、

「知らない他人と距離を取れる」

「他人との距離の取り方を自分で決められる」

ことが、ユニクロ以外の「若い世代に見捨てられない」企業にも見受けられると思うわけです。

(続く)