経営者に悩みは尽きません。
その中でも最大のものはやはり「人」のことではないでしょうか。
社長に声をかけられて
ある日のこと。
一人で残っていると、書類を取りに来た社長に「最近どう?」と声を掛けられました。
せっかくの機会なのでといろいろ話をしていると、今度は社長から「実は僕も悩んでいるんだ」と言われたのです。
問わず語りに話すところを聞くと、最近になって役員候補として採用したばかりの管理職二名が社長の考え方についてこられず、一人は退職をほのめかしているとのこと。
実は「役員候補として管理職を採用したのに、考え方についてこられずに早期退職した」というのは初めてではないのです。
ちなみに社長の考えは行きすぎているわけでもハラスメントまがいでもない。
単にレベルが高く、視野が広く深いのです。
社長はため息交じりに、
「何度も面接をして考え方も伝えたし、面接の時にはついていけると言われた。それなのに実地に入るとやはりついてこられない。」
と言い、
「どうしたらいいか分からない。採用に自信がなくなってきた」
と頭を抱えました。
「経営自体は順調だし資金繰りに困っているわけでもない。でも人が育たないとどうしようもない」
と社長は続けるのです。
人間の悩みは全て人間関係の悩み
アドラーの言葉に、「人間の悩みは全て人間関係の悩み」という趣旨の言葉があります。
「金銭的なことは人間関係の悩みではないのではないか?」
と言われるかもしれませんが、それだってお金に困っている時に誰かが貸してくれれば、もしくは支払いをすべき相手が気軽に待ってくれれば、悩みは解決するわけです。
病気や死については何とも言えないのですが、少なくとも
「人間の悩みの多くは、突き詰めていけば人間関係の悩みに集約することも可能である」
とぐらいは言えるかもしれません。
経営者にとってもそれは同様ですが、社長に声を掛けられ、経営者が「人」の問題にどれだけ悩んでいるかを再認識しました。
「新卒採用した従業員のほとんどが定着し、放っておけば組織が成立する」という時代ではなくなっています。
だからこそこれからの経営者は人の問題について今まで以上に悩み、考えていかねばならないと強く思います。
少子高齢化が進む日本。
生き残るのは間違いなく、優秀な人材を確保し続けることができる企業でしょう。
それでは今日はこの辺で。
明日は「メモ帳を持ち歩け」を予定しています。