こんばんは。SMEです。
さて、中小企業とダイバーシティについて考察している
「中小企業での幸せな働き方を考えるブログ」。
まだまだ続きます。
ミドルの育成に苦慮する中小企業
見てきたように、今や若手層は
「一般企業に入社し、若いうちは安い給料で頑張って上を目指す」
という意識がなくなっているのです。
そういう意識を持った若年層もいますが、そういった若手が、時代にキャッチアップできていない中小企業を選択する可能性は低いでしょう。
大手企業での安定を目指すか、公務員にでもなった方がよほど安泰です。
終身雇用制度は信頼できなくなったのに「今、安い給料で働く」ことに確信が持てないのは当たり前です。
それであれば、今の給料を保証してくれた方がいいわけです。
そうなると地方中小企業に入社してくるのは
- 若者なのに現代にキャッチアップできていない人
- 希望する企業に入れなかった人
- 労働条件が悪くても企業にしがみつくしかない人
- 労働条件の悪さ(を改善すること)に疑問を持たない人
- そもそも能力が足りない人
……といった、(あくまで相対評価ではありますが)「優秀でない人」「能動的でない人」「頭を使うのが苦手な人」ばかり、ということになっていくわけです。
これで、「将来我が社の経営を背負って立てる」などという人材が育つでしょうか?
もちろんそうでない方もいます。
将来の夢や目標を持って中小企業を選ぶ若年層もいますが、管理人が見聞した範囲で言えば、そういった若手はほぼ間違いなく、三年〜五年程度のスパンで他社に転職するか、クリエイターやプログラマなどは独立して個人事業主になっています。
優秀でなければ管理職として育たず、優秀だと思えば自社をステップアップにして退職され、まさに中小企業としては踏んだり蹴ったりです。
実際に岡山で仕事をしていると、職種を問わずミドル層の求人を折りに触れて目にします。
つまりはそれだけ、ミドル層が足りていないということでしょう。
経団連は2012年に「ミドルマネジャーをめぐる現状課題と求められる対応」という報告書を出していますが、それから六年たち、ミドル層を巡る企業の現状はさらに悪くなっているように感じられます。
※ ちなみにこのレポートではとても面白いです(ボリューム多めですが)。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2012/032_honbun.pdf
内容としては、ミドルマネージャーの
「プレイヤーとしての仕事が多すぎてマネジメントに注力できない」
という声が多くなっていることが書かれています。
これもつまりは「人手不足」が理由になっているわけで、
- 人がいないからミドルがプレイヤーとして働かざるを得ない
- そのため、人を育てられない
- 人を育てられないからいつまで経っても楽にならない
- 楽にならないから自分がプレイヤーとして一生懸命働く
という悪循環に陥っていることが分かります。
このレポートは主に大企業をデータベースとしていますが、大企業ですらそうであれば、中小企業はより状況がひどいことは誰にでも分かるでしょう。
幹部候補のミドルはどこでも不足している
中小企業にとって人材の問題は致命的です。
これから先、日本経済が間違いなく緩やかに縮小していく中で、中小企業が生き残る道はそれほど多くありません。
特に、国内だけをマーケットにしている中小企業にとっては頭の痛い問題でしょう。
その中で、「新たな経営戦略を打ち出せる人材が育ちませんでした」では、その企業の寿命はすでに見えているようなものです。
しかしながら、多くの中小企業が
「ミドルが育たない」
「若手も育たない」
「育ってきたと思ったら辞める」
と悩んでいます。
悩んだ挙げ句、ミドル層の中途採用を狙うのですが、面接で「こっちは選ぶ立場だ」とばかりに求人票に書いていた給与が出せないと言い出したり、年間休日が100日ギリギリで残業は月に40時間あったりしたら、質の高い応募者には敬遠されるのが当然でしょう。
もちろん仕事のやりがいは年収や年間休日数と因果関係があるものではありませんが、今まで年収500万円で年間休日数が120日あったミドルマネージャーが同業種・同職種に転職しようとして
「うちは年収300万の一般社員からスタートで、年間休日は99日だから」
と言われたら、よほどのことがない限り「どうしてもこの会社で働きたい!」とは思わないのではないでしょうか。
どのように優秀な人材を確保するか
それではどのようにして人を採用していくか。
いずれ育っていくはずの若手新卒採用をどうするか。
これは別々の問題ではなく、根は同じなのです。
命題は
「今、応募者は企業に何を求めているのか? どういう働き方が望まれているのか?」
そしてそれに対し、
「自社はそれを提供できるか?」
というだけなのです。
この辺りが分かっておらず、
「ちょっとだけ給料上げてみるか」
「小奇麗なところにオフィスを移転してみるか」
といった努力をするならまだしも
「求人票の残業時間、少なめに書いてみるか」
「求人票では年収500万からって書いて、面接で交渉して下げてみるか」
など、嘘をついて人を集めようとする企業まで出てくるわけです。
しかし今は口コミがあっという間に広がる時代です。
「あの会社、年収500万って書いてるのに、面接で400万って言われたんだけど」
「うちの会社の求人票、残業は月に20時間って書いてるけど、40時間は行ってるよな」
など、悪い噂は必ず広まっていきます。
そしてそれがネットで拡散され、質の高い応募者はより応募を避けるようになっていくわけです
(続く)