10割の力で仕事をしてはいけない

こんばんは。SMEです。

みなさん、定時に帰れてますか? 休憩取れてますか?

NOとお答えのあなた。

今、新しいプロジェクトを任せられたらどうしますか?

 

 

一般職の業務量は何割ぐらい?

管理人がEC小売業で働いていた時の話です。

東京の本社へ出張に行った際のこと。

上司(マネージャー)とフリースペースでミーティングをしていると、ゼネラルマネージャーがやってきて、

「何の話してるの?」

 と訊かれました。

このゼネラルマネージャーという方は毀誉褒貶の多い人ではありましたが、もともと一部上場企業で役員クラスまで行った方で、厳しいながら凄い方だと管理人は常々尊敬していたのです。

ところが東京と岡山で離れていることもあり、また管理人は課長クラスでしたのでどうしても上司である部長を通じてのやり取りになり、入社三年を経ていましたが直接話すのは三度目くらいだったわけです。

まぁここでも

「できる人は自分から、下位の立場の従業員にも話しかける」

という教訓も得られるわけなんですが、それはさておき、ここで管理人は

「効率化したいが業務の特性上、必然的な手待ち時間が多くて悩んでいる」

ということを伝えたわけです。

そうしたところ、ゼネラルマネージャーが

「今、一般職の業務量って時間当たり何割ぐらい?」

と尋ねてきました。

管理人は正直に、七割ぐらいだと答えました。

少ないと言われるかな、と覚悟していたのですが、返ってきた答は反対でした。

 

 

普段の業務量は六割で

「ちょっと多いね」

「…はぁ?」

管理人と、上司である部長はキョトンとしました。

八時間勤務の七割と言えば、実際に作業をしているのは六時間弱。

一日の内、二時間以上も手待ちの時間があるわけです。

一般職とアルバイトスタッフはシフトで毎日五人が勤務しており、時給換算で一人仮に1000円としても月で30万円のロスが出ている、無駄だなぁと管理人は思っていたわけなのです。

「手待ちの時間、何させてるの?」

ゼネラルマネージャーは管理人に尋ねます。

「基本的にはスキルアップです。各自の年間があるのでそれに沿ってレポート作らせたり。あとはレベルによりますけど、officeの勉強させたりですね」

管理人が答えるとゼネラルマネージャーは「いいんじゃない」と頷きました。

「一般職の普段の仕事量は六割をキープして。それ以上だと多すぎる。六割を超えたら、増員の稟議を上げなさい」

 

 

なぜ「六割で良い」のか?

「作業量が多すぎると、人は疲労する。疲労すると人は必ず辞める」

ゼネラルマネージャーは熱く語ります。

「育てた人が辞めることほど会社にとって無駄なことはない。作業量が少なすぎるのもよくないが、多すぎるのはもっとよくない」

ゼネラルマネージャーが言うことは分かりますし、管理人自身も大切にしてきたことではあります。

しかしながら普段の業務量が六割というのは、なんぼなんでも少なすぎる気がします。

トラブルさえなければ定時に帰れる。それぐらいが妥当ではないでしょうか?

管理人がそんな疑問をぶつけると、ゼネラルマネージャーは首を振って言いました。

「普段の仕事量でギリギリってことは、新しい仕事は入れられないってことだよ」

言われて管理人はハッとしました。

「ウチはただでさえ競争も激しい業界にいるし、どんどん新しいことやらなきゃいけないんだよ。施策を急に変えなきゃいけないことも多いだろ? それを踏まえた業務量にしないと、『忙しいから今はできません』ってなるんだよ」

リーダーが陥りがちな、グレシャムの法則というやつです。

しかし違うのは、単に

「リーダーだけがグレシャムの法則に陥らないようにすればよい」

と考えるのではなく

「会社全体でグレシャムの法則に陥らないようにしなければならない」

というところが大きく違います。

「普段の業務量が七割だと新しい業務に集中できない。五割じゃ少なすぎる」

ゼネラルマネージャーはそう言って話を締めくくったわけです。

 

 

普段の業務量は何割ですか?

あなたの普段の業務量は何割でしょうか?

毎日残業をして忙しい忙しいと嬉しそうにしているおじさんがいますが、以前も書いた通り、「残業が常態化している」というのは

  • 能力が足りない

  • 人が足りない

かどちらかなのです。

「いや、残業ありきで頭数を配置しているんだ」

というのであれば、それは厳しいことを言えば経営職に能力が足りないのです。

残業はあくまで「残業」であって、時間内に仕事が終わるのが普通なのです。

どの企業も麻痺してしまい、求人票で堂々と

「残業は月平均二十時間!」

などと書いていますが、仮に8人の部署で全員が月に二十時間残業しているとすれば、単純計算でその部署は常に1人足りないぐらいの業務量であるわけです。

「時間をかければ終わる」というのは一番単純な解決策であって、そうならないように生産性を上げるのが役職者の役目ではないでしょうか。

そもそも管理職が毎日残業しているというのは、本来管理職がすべき「考えること」=ミッションをせずに、「作業」=タスクしかしていない可能性が高いです。

個人の力で社内、あるいは部署の残業をなくすのは難しいかもしれません。

しかし、減らすことはできるはずです。

そのために何ができるか? まずはそれを考える時間を確保することでしょう。

 

 

では今日はこの辺で。

明日は今日の発展で「どうすれば部署の残業時間は減らせるか?」を予定しています。