いよいよ始まる有給取得の義務化。
零細・中小企業では「このままでは経営が成り立たない!」というところもあるかもしれません。
とは言え法律は法律。
有給取得の義務化に対応しながらコストを抑制し、利益を出していくにはどうしたらいいのでしょうか。
単純に「有給を取れ」という問題ではない
2019年4月1日から始まる有給取得の義務化について、戦々恐々としている経営職の方も多いのではないでしょうか。
また管理職・中間管理職の方でも、上からはざっくりと
「法律だから有給を取らせるように」
とだけ指示はされたものの、実際に部下に有給を取らせたら仕事が回らない! このままじゃ俺が休日返上だ! と嘆いている方もいるはずです。
また零細企業の中には
「年に5日の有給を取らせなきゃいけないなら、その分の年間休日数を減らしてしまえ!」
というウルトラC級の発想をする企業がないかという一抹の不安もないではありません。
あるいは
「フルタイムのパートさんを週4勤務に変えてしまえ!」
という企業も出てくるかもしれません
とは言え「ほとんどの従業員が有給を取得できない」という企業もあるのは事実。
もちろんいいことではありませんが、そういった企業は「誰も有給を取得しない」という前提で成り立っているわけです。
そんな企業に対してもただ単に「有給取得が義務化されたから取得しなさい」というのは現実的に見て無理があります。
生産性を上げることが喫緊の課題
有給取得義務化に対応せざるをえない零細・中小企業が考えることと言えば
- 何らかの形で人件費を削減する
- サービス残業
- 効率化
といったところでしょうか。
「有給は取得できるようになったけれど時間外業務が増えた」などという状況が目に浮かびます。
しかしながら管理人も別段「休みを取ることは法律で決まっている! 労働者の権利! 経営破綻しても我らに休日を!」と思っているわけではありません。
経営に近い立場で管理をしていたこともありますし、一概に労働者の立場で「とにかく休みを取らせろ!」というわけではない。
しかしながら世の流れが「従業員がワークライフバランスを取れるようにする」ようになってきているのは事実。
そうでない企業は恐らく淘汰されます。
そうである以上、利益を守りながら従業員が有給を適切に取得できるようにすることが労使双方にとってwin-winであるわけです。
これを避けるためにはやはり、生産性を上げるしかありません。
生産性は一人では上げられない
生産性を上げるために忘れてはならないのは、従業員が主体的に生産性向上を指針にできるようにすることです。
どういうことかと言うと、経営陣が「有給取得が義務付けられたんだから生産性を上げろ!」と一方的に指示するだけではいけないということです。
現実的に、一従業員の立場からすれば
「給料が変わらないで休みも増えたらいいことずくめ。会社の経営状態なんて俺は知らないし」
という人もいる、というか多いのが実情です。
こういった層に対していくら経営陣が
「休みが増えた分、仕事の生産性を上げてくれ!」
と言ったところでリアリティもロジックも伝わっていないため、協力してくれるはずがありません。
ここは一つ、従業員の意識を変えるためにも管理部門が主導し
「有給取得義務化によって社内の人件費がどう変わるか」
「生産性を上げることでコストを吸収しなければどうなるのか」
を全従業員に落とし込む必要があります。
情報を統制することではなく、可能な範囲で共有することで全従業員に経営・生産性の向上に参加してもらうわけです。
「有給が増えるのが嫌だ」と考える人はあまりいないはずです。
だからこそ「自分たちが有給をさらに取れるようにするにはどうしたらいいのか」を考えてもらう。
企業にとっても「全員経営」にシフトするいいきっかけになるかもしれません。
それでは今日はこの辺で。
明日は「ビジネスパーソンは法律を学ぼう」を予定しています。